理事会・総会

理事になったら最初に読む:理事会の役割・年間スケジュール・やってはいけないこと

輪番で理事が回ってきた人向けに、理事会の仕事を 1 年の流れで解説します。理事長・副理事長・会計・監事の役割分担、毎月の理事会で見るべき書類、総会までの準備、個人の責任が問われるケース、負担を減らす工夫まで。

公開 2026/11/08 ・ 更新 2026/11/08読了目安 10 分執筆: ダオマンション編集部

この記事の要点

  • 理事会は 管理組合の執行機関。日々の判断は理事会で行い、お金と規約に関わる大きな決定は総会に諮る。
  • 1 年の山場は 総会。決算・予算・役員選任を 2〜3 か月前から準備する。
  • 理事長の仕事の 8 割は 管理会社の報告をチェックして判断すること。実務は管理会社がやる。
  • 理事個人が損害賠償責任を問われるのは、故意や重大な過失 がある場合に限られる。普通にやっていれば過度に恐れる必要はない。

理事会は何をする組織か

分譲マンションの所有者は全員、自動的に 管理組合 の組合員になります。管理組合の最高意思決定機関は年 1 回の 総会 ですが、毎日の運営を総会で決めるわけにはいかないので、組合員の中から選ばれた理事が 理事会 を作り、総会で決めた予算と方針の範囲で運営を担います。

国土交通省の「マンション標準管理規約」では、理事会の仕事は次のように整理されています。

  • 総会で決めた予算に基づく 収支の管理(支出の承認、滞納への対応)
  • 管理会社の業務のチェック(月次報告の確認、点検結果の確認、改善要請)
  • 総会の議案づくり(決算・予算・長期修繕計画の見直し・規約変更など)
  • 日常的な判断(共用部の小修繕、ルール違反への注意、住民からの要望対応)
  • 専門委員会の設置(修繕委員会、規約改正委員会など)

ここで大事なのは、実務の大半は管理会社がやる ということです。理事会の役割は「自分で全部やる」ことではなく、「管理会社の報告を読んで、判断し、方向を決める」ことです。理事長が一人で抱え込む必要はありません。

役員の役割分担

役職主な仕事こんな人が向いている
理事長理事会の招集と議長、管理組合の代表(契約書への押印、対外的な窓口)判断を先送りしない人。実務能力より決める力
副理事長理事長の補佐と代行。修繕委員会や防災担当を兼ねることが多い理事長と役割を分けられる人
会計理事収支報告・決算書の確認、通帳と帳簿の照合、滞納状況の把握数字を見るのが苦でない人
監事理事会の業務と会計を監査し、総会で監査報告をする。理事会の構成員ではない理事会と距離を取れる人。前年度の理事長が務める例も多い

理事会の 1 年:年間スケジュール

4月 新年度・理事会発足5月 総会準備(決算・予算案)6月 通常総会7月8月 防災訓練・設備点検9月10月 長期修繕計画の確認11月12月 次年度予算の検討1月2月 決算見込み・監査3月 総会議案の確定理事会の 1 年4 月決算・6 月総会の例
4 月決算・6 月総会のマンションの例。決算期によって 2〜3 か月ずれる

4〜5 月:新年度の立ち上げ

新しい理事会の最初の仕事は、前年度からの引継ぎ です。前理事長から進行中の案件(滞納、修繕の検討、住民トラブル)を聞き取り、管理会社の担当者と顔合わせをします。役員の分担を決め、理事会の開催日(月 1 回の第○土曜など)を固定すると、その後が楽になります。

5〜6 月:総会の準備と開催

決算書と監査報告、次年度の予算案、役員の選任案を議案にまとめ、総会の 2 週間前(標準管理規約の場合)までに招集通知を発送します。管理会社が原案を作りますが、理事会が内容を理解して説明できる状態 にしておくことが重要です。総会の進め方と決議要件は総会の記事にまとめています。

7〜10 月:日常運営と中長期の検討

月次の理事会では、管理会社の 月次報告(収支、滞納、点検結果、住民からの要望)をチェックします。この時期は比較的落ち着いているので、長期修繕計画の見直し、防災訓練、植栽や駐車場の課題など、中長期のテーマに時間を使えます。

11〜3 月:次年度予算と決算の見込み

年明けには次年度の予算案を作り始めます。管理委託費の値上げ要請が来るのもこの時期です。決算の見込みを出し、積立金の残高と長期修繕計画のずれを確認し、必要なら値上げや一時金の議案を検討します。2〜3 月には監事による監査、総会議案の確定へと進みます。

毎月の理事会で必ず見る 5 つの書類

  1. 収支報告書:予算と実績の差。大きくずれている科目は理由を聞く。
  2. 滞納状況一覧:誰が何か月滞納しているか。3 か月を超えたら督促の方法を決める。
  3. 点検報告書:エレベーター、消防設備、給水設備などの法定点検結果。「要改善」項目を放置しない。
  4. 住民からの要望・苦情の一覧:対応状況を確認し、回答する。
  5. 前回の議事録:決めたことが実行されているか確認する。

理事個人の責任はどこまで?

「理事になると責任を問われるのでは」と心配する人は多いですが、理事が個人として損害賠償責任を負うのは、故意または重大な過失 があった場合に限られます。たとえば、通帳と印鑑を同じ人が管理して横領を見逃した、点検で指摘された危険箇所を何年も放置して事故が起きた、といったケースです。管理会社の報告をきちんと読み、理事会で決め、議事録を残していれば、過度に恐れる必要はありません。

  • 通帳と印鑑は別の人が管理する(または管理会社に保管させ、理事会が照合する)。
  • 議事録を必ず残す。誰が何を決めたかの記録が、理事を守る。
  • 点検の「要改善」は必ず対応する。すぐ直せなくても、対応方針を議事録に残す。
  • 役員賠償責任保険 に管理組合として加入しているか確認する。

理事の負担を減らす工夫

理事のなり手不足は全国的な課題で、国土交通省の調査でも約半数の管理組合が「役員のなり手がいない」ことを問題に挙げています。負担を減らすには、次のような方法があります。

  • 理事会のオンライン開催 を規約で認める(標準管理規約も対応済み)。
  • お知らせ・議事録・投票をデジタル化 して、紙の配布と回収をなくす。
  • 役員報酬 を導入する(月 5,000〜2 万円程度が多い)。
  • 外部専門家(マンション管理士) を顧問や理事に迎える。第三者管理方式への移行も選択肢。
  • 任期を 2 年にして半数改選 にし、引継ぎの負担を分散する。

ダオマンションの理事会機能は、お知らせの配信、議事録の保管、電子投票、会計の記録をマンションごとにまとめて無料で使えます。理事が交代しても記録が残るので、引継ぎが楽になります。

よくある質問

理事を断ることはできますか?
管理規約で輪番制が定められている場合、正当な理由なく断ることは難しいです。ただし高齢や病気、長期不在などの事情があれば、理事会に相談して順番を繰り延べてもらえることが多いです。辞退する場合に協力金を払う規約を設けているマンションもあります。
理事会は何人で成立しますか?
標準管理規約では理事の半数以上の出席で成立し、出席理事の過半数で決議します。管理規約で別の定めがある場合はそれに従います。
理事会と総会の違いは何ですか?
総会は全組合員が参加する最高意思決定機関で、予算・決算・規約変更・大規模修繕などを決めます。理事会は総会で決めた範囲で日常の運営を担う執行機関です。理事会だけで管理費の値上げや規約の変更を決めることはできません。
理事長は何をする人ですか?
理事会を招集して議長を務め、管理組合を代表して契約書に押印し、対外的な窓口になります。実務の多くは管理会社が行うため、理事長の本質的な仕事は「報告を読んで判断すること」です。

参考資料

この記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別のマンションの事情に対する法的・専門的な助言ではありません。金額や制度は公的資料をもとに記載していますが、最新の法令・規約をご確認ください。

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