管理会社

管理会社を変更する手順:検討から新契約まで 7 ステップと、失敗しないための注意点

管理会社の変更(リプレイス)は、理事会での検討開始から新契約まで 6〜12 か月かかります。相見積もりの取り方、総会での決議要件、現管理会社への解約通知の時期、引継ぎで揉めやすいポイントまで、実際の流れに沿って解説します。

公開 2026/11/08 ・ 更新 2026/11/08読了目安 11 分執筆: ダオマンション編集部

この記事の要点

  • 管理会社の変更は 総会の普通決議(出席者の議決権の過半数) で決められる。規約変更は不要。
  • 流れは「不満の整理 → 理事会で検討決定 → 相見積もり → 比較 → 総会 → 解約通知 → 引継ぎ」の 7 ステップで、6〜12 か月 が目安。
  • 解約通知は契約書で定められた期間(3 か月前 が一般的)を守る。守らないと違約金や引継ぎ拒否のトラブルになる。
  • 変更の目的が「安くしたい」だけなら、まず現管理会社と交渉するほうが早い。相見積もりはその交渉材料にもなる。

管理会社は変えられる。ただし「誰が」「どうやって」を知っておく

管理会社は、管理組合が 業務を委託している業者 にすぎません。契約の相手は管理組合なので、管理組合が決めれば変更できます。国土交通省の調査でも、管理会社を変更した経験のある管理組合は全体の 1 割を超えており、特別なことではありません。

変更を決めるのは理事会ではなく 総会 です。管理委託契約の締結・解約は普通決議事項なので、出席者(委任状・議決権行使書を含む)の議決権の過半数で可決されます。管理規約の変更のような特別決議(3/4 以上)は必要ありません。

変更の流れ:7 ステップ

1不満の整理と現状把握2理事会で検討開始を決定3複数社から提案・見積もり4比較・現地ヒアリング5総会で変更を決議6現管理会社へ解約通知(3 か月前が一般的)7引継ぎと新契約開始目安期間: 検討開始から新契約まで 6〜12 か月
管理会社変更の標準的な流れ。総会決議から新契約開始まで、解約予告期間を逆算して進める

ステップ 1: 不満の整理と現状把握(1 か月)

理事会で「何が問題なのか」を書き出し、住民アンケートで裏づけを取ります。あわせて現在の管理委託契約書、重要事項説明書、直近 3 年の収支報告、長期修繕計画をそろえます。現在の委託費の内訳(事務管理・管理員・清掃・設備管理) がわからないと、次の相見積もりが比較できません。

ステップ 2: 理事会で検討開始を決定

理事会の議事録に「管理会社の見直しを検討する」ことを残し、住民にもお知らせします。この段階で現管理会社に伝えるかどうかは管理組合次第ですが、伝えたほうが現管理会社から改善提案や値下げ提案が出てくることが多く、比較材料が増えます。

ステップ 3: 複数社から提案・見積もりを取る(1〜2 か月)

3〜5 社に声をかけます。候補は、同規模のマンションを近隣で受託している会社、住民の紹介、マンション管理士からの紹介、ダオマンションの管理会社ランキングなどから探せます。重要なのは 同じ仕様書で見積もりを取ること です。管理員の勤務時間や清掃回数が社ごとに違うと比較になりません。現在の仕様をベースに「見積もり依頼仕様書」を 1 枚作ってから配りましょう。

ステップ 4: 比較・現地ヒアリング(1〜2 か月)

  • 金額だけで決めない。 安い会社は管理員の時給や清掃頻度を削っていることがある。仕様が同じかを確認する。
  • 担当者(フロント)に会う。 実際に理事会に出席するのはこの人。質問への回答の速さ、提案の具体性を見る。
  • 受託実績を確認する。 同規模・同築年のマンションを何棟受託しているか。管理戸数が急増している会社は人手不足のことがある。
  • 管理業務主任者の人数と担当棟数 を聞く。1 人で 20 棟以上担当していると対応が遅くなりがち。
  • 解約された経験 も聞く。正直に答える会社のほうが信頼できる。

ステップ 5: 総会で変更を決議

臨時総会または通常総会で「現管理会社との契約解約」と「新管理会社との契約締結」を議案にします。比較表、見積もり、選定理由をまとめた資料を事前に配布し、説明会を開くと可決されやすくなります。候補会社にプレゼンしてもらう「説明会」を総会前に開く管理組合も多いです。

ステップ 6: 現管理会社へ解約通知

管理委託契約書には解約の予告期間が定められており、3 か月前の書面通知 が標準管理委託契約書のひな形です。期間を守らないと、違約金の請求や、引継ぎへの非協力といったトラブルになります。総会で可決されたら、議事録とともに内容証明郵便で通知するのが確実です。

ステップ 7: 引継ぎと新契約開始(3 か月)

引継ぎでは、管理組合の 通帳・印鑑・鍵・図面・過去の議事録・点検報告書・保険証券・滞納者リスト などが新管理会社に渡ります。引継ぎ漏れを防ぐため、理事会がチェックリストを作って立ち会いましょう。管理費の口座振替も切り替わるので、住民への案内を忘れずに。

よくある失敗と対策

失敗パターン対策
安さで選んだら、管理員の質が落ちて住民の不満が増えた仕様書をそろえて比較する。見積もりが突出して安い会社は理由を確認する
解約通知が遅れ、空白期間ができた総会の日程を解約予告期間から逆算して決める
前の管理会社が資料を渡さない解約通知の時点で引継ぎ資料の一覧を書面で提示し、引継ぎ完了を契約終了の条件にする
新会社の担当者が提案時と違う人になった契約書に「担当者変更時は事前通知と理事会の承認」の条項を入れる
住民への説明不足で総会が否決された説明会とアンケートを総会の 1〜2 か月前に行う

変更以外の選択肢

管理会社を変えずに改善する方法もあります。一部委託への切り替え(会計だけ、清掃だけを別会社に出す)、マンション管理士の顧問契約(第三者の目で管理会社をチェックしてもらう)、管理員の交代要請 などです。不満の内容が特定の業務に限られるなら、こうした部分的な見直しのほうがリスクは小さくなります。

ダオマンションでは、同じマンションの住民どうしが管理会社の対応について匿名で話し合えます。「うちだけの不満なのか、全体の不満なのか」を確認してから理事会に提案すると、話が進みやすくなります。

よくある質問

管理会社の変更には何人の賛成が必要ですか?
総会の普通決議で、出席者(委任状・議決権行使書を含む)の議決権の過半数です。改正区分所有法(2026 年 4 月施行)で普通決議は出席者ベースで数えられるようになりましたが、管理規約で要件を加重している場合はそちらが優先されます。
変更にはどのくらいの期間がかかりますか?
検討開始から新契約まで 6〜12 か月が一般的です。相見積もりと比較に 2〜4 か月、総会までの準備に 1〜2 か月、解約予告期間に 3 か月かかります。
変更すると管理費は下がりますか?
下がるケースが多いですが、目的が値下げだけなら、相見積もりを材料に現管理会社と交渉するほうが早く確実です。変更には引継ぎの手間とリスクがあることを踏まえて判断してください。
途中解約の違約金はかかりますか?
標準管理委託契約書では、3 か月前の書面通知で違約金なしに解約できます。契約書に別の定めがある場合はそれに従うので、必ず契約書の解約条項を確認してください。

参考資料

この記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別のマンションの事情に対する法的・専門的な助言ではありません。金額や制度は公的資料をもとに記載していますが、最新の法令・規約をご確認ください。

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